2009年センター英語へのコメント
田平先生と今年のセンター試験の分析会を終えました。ひと言でまとめると「全体的な読解量が増えて、上位層と中位層以下で差が開く問題」。
苦手な子にとっては、すべてをやりきるのが非常に辛い問題だと思われます。ただ、この読解量を増やすという傾向は英語教育にとってはいいことではないで
しょうか?また、従来のようなセンター用の単語なんて関係なくなりつつあります。語彙も神戸大学レベルの語彙が必要だと思われます。「センター試験用単語集」なんてそもそも「インチキくさい」ですよね。 comfort のアクセントのない -or-が曖昧母音化する問題は良問。 センタープレ講座配布プリント: debt / debut / doubt / subtle アタリ! 第1問C:一部昔の問題形式に戻った。 代名詞(it)と接続詞(that)が弱音であることを尋ねた問題。従来の問題をやる必要がある。 第2問A:へんな熟語(run in the familyとか close downが出ていた。何なの? 問5 You've got [ ] on your tie. Did you have fried eggs for breakfast? 拙著「竹岡式やり直し英語」の中に You have egg on your nose. を取り上げています。まさか僕の本を見て作ったってことはないわね(笑)。 第2問B:会話文はやはり消去法 センタープレ講座で取り上げた I couldn't agree ore. 「激しく同意」が解答になっていたのでびっくりした。相変わらず消去法の徹底をさせる問題。 第2問C:if の省略による倒置なんか出してどうするの? 後置修飾(everything you eat )は相変わらず出てました。なんと問3に had I answered... という仮定法過去完了形の条件節における if の省略なんとものが出ていました(笑)。問題作成委員会の中に懐古主義者でもいるのでしょうか?過去30年の歴史で初ですね。 第3問A:昨年より短く簡潔になりました。 要するに同一パラグラフ内では言い換えがあるということでしょうか?a real can of worms「ミミズの本当の缶」なんて面白い表現ですね。 第3問B:少し英文は長くなりましたが相変わらずです。 @友達は少なくても良いA友達が多い方が良いB両方が良い、という単純な論理構造の問題。主張を選ぶという点では昨年と同じ。ただ解答番号30の問題の答えは「主張の具理由の1つ」にすぎない。センターにしては「うーん」かな。 第3問C:「漠然から具体」の嵐 「逆接」が出ると思っていましたが、3問とも「漠然から具体」。そして何と!解答番号32は、パラグラフの終わりに「漠然」があって、次のパラグラ フにその「具体化」があるというセンター史上初(追試を除く)の試みでした。センター作成部会はどうしたのでしょうか? 単語では dairy「酪農」なんか出ていましたが難しいですね。 第4問A:英文が長く、図表が小さい。 問3の答えが Rainforests are likely to make more money if they are not destroyed.になったのには本当に驚きました。「センター本試験」が、「熱帯雨林がお金になる」なんて書くのは「アリ」ですかね?何度も何度も解 き直しましたよ。 第4問B:邪魔くさい邪魔くさい 単語レベルが高いですね。nausea「吐き気」、constipation「便秘」、diarrhea「下痢」。従来のセンターでは考えられない レベルの単語ですね。医者の問診票ですから仕方ないとはいえ、今後はどうなっていくのでしょうか?語彙の増加は僕は賛成ですが。 いろんな所を見なければ解けないので邪魔くさいですね。本当に。 第5問;沢山読んでも偽情報は「わずか」だけ。 Aはとにかく読ませたいのでしょうね。選択肢@は5行も英文読んで、間違っているのは arms held straight だけ。しかも最終行。いじめですね。 Bは使える情報が The size of the components in each section is small. だけですね。 Cは昨年の追試と同様に、全ての選択肢に感情表現が入りました(解答と無関係)。それぞれ偽情報が僅かずつ入っています。 第6問:ロングマンの援軍:英英辞典を使えよ!!!というのがテーマです。 僕の声がセンター作成部会に聞こえたのでしょうか?英英辞典がいかに優れているかをただただ読ます問題。設問は昨年に引き続き、いちいち本文に戻らなくても解ける良問。この傾向が続けば日本人の読解力の向上につながると思います。 |